質量とエネルギーの等価性

No.383
Date: 2003/02/13(Thu) 20:20
Name: ハリケーン喇叭
Subject: 『質量とエネルギーの等価性』

『ROCK AND…』の大作『質量とエネルギーの等価性』をラジオではじめて披露した時、今までに無いそのブッ飛び歌詞にド肝を抜かされました。雑誌では「デタラメな歌詞です」と桑田さんは言っていますが、気になるフレーズがあります。
「♪俺達の未来は暗い 閉ざされた世界でみんなと一緒」
です。この曲は解読不能な歌詞や難しい言葉が多い分、これだけストレートな歌詞をいきなり置かれると何とも宗教的に感じます。アルバム全体のイメージを考えて、これもやはり桑田さんなりの社会風刺の一つと思うのですが、マーシャ氏はどう思いますか?
それともう一つ、コレあまり深い意味はないと思うんですが
「ラプラスの魔という知的存在」
とは何ですかね〜?
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No.385 -> No.383
Date: 2003/02/14(Fri) 22:49
Name: マーシャ
Subject: Re: 『質量とエネルギーの等価性』

> 「♪俺達の未来は暗い 閉ざされた世界でみんなと一緒」
> です。この曲は解読不能な歌詞や難しい言葉が多い分、これだけストレートな歌詞をいきなり置かれると何とも宗教的に感じます。アルバム全体のイメージを考えて、これもやはり桑田さんなりの社会風刺の一つと思うのですが、マーシャ氏はどう思いますか?

この曲は、単語の羅列にしか思えないような意味不明のフレーズが次から次へと流れてきて、聴いていると、まるでリモコンでテレビのチャンネルを頻繁に変えるザッピングをしているかのような感覚になります。
その中で、「俺達の未来は暗い 閉ざされた世界でみんなと一緒」というフレーズは、個々の単語の意味がわかりやすいこともあって、リモコンのボタンを押す手の動きが一瞬止まったような感じになり、聴く者の耳に残りますね。

この手の曲を繰り返し聴くと、サブリミナルのような効果が現れて、特定のフレーズが聴く者の潜在意識に働き掛けることがあります。
もしかしたら、この曲に於いての桑田さんの狙いはまさにこれで、「俺達の未来は暗い 閉ざされた世界でみんなと一緒」というフレーズを聴く者に印象付けることなのかもしれません。

では、「俺達の未来は暗い 閉ざされた世界でみんなと一緒」というフレーズはどういう意味なのか?

ハリケーン喇叭さんのおっしゃる通り、僕も痛烈な社会風刺だと思います。

「閉ざされた世界」というのは、独裁者によって情報が操作されている北朝鮮やイラクのような国々のことでもあり、料亭という密室で国の行く末が決まり、情報を公開したがらない行政機関によって国民一人一人の情報が管理されている我が国のことでもあると思います。

悲しいことですが、そんな閉ざされた世界で味わう苦しみを「自分だけじゃなくて、みんなが同じように苦しんでるんだ」と言い聞かせ、そう思い込むことでしか癒すことができない人々が世界中にはたくさんいますね。
独裁者と一部の特権階級の者たちが贅沢三昧の暮らしをしているその裏で。

> 「ラプラスの魔という知的存在」
> とは何ですかね〜?

ラプラスの魔(Laplace's Devil)
ラプラス(Pierre Simon de Laplace 1749‐1827)はフランスの数学者。
フランスに生まれ,革命期とナポレオン時代を経て王政復古の時期まで生きた。
彼は《確率の哲学的試論》という数式を用いない啓蒙書において〈ある瞬間に宇宙のすべての原子の位置と速さとを知ることができるならば,未来永遠にわたって宇宙がどうなるかは,解析学の力によって知ることができるであろう〉と述べた。
その超越した存在をラプラスの魔と呼んだ。
転じて、「すべてを知ることのできる存在、もしくはそのことによって、運命を操れる存在」をラプラスの魔と呼ぶようになった。
(参考文献:「世界大百科事典」平凡社)

だそうです。
僕も桑田さんと同様、文系の人間ですが、理系の専門書にまで目を通す桑田さんの読書量には脱帽です。
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No.387 -> No.383
Date: 2003/02/15(Sat) 20:13
Name: ハリケーン喇叭
Subject: Re: 『質量とエネルギーの等価性』

確かに何度もこの曲を何度も聴いていると「♪俺達の〜…一緒」のところが妙に印象深くなっています!すごくシンプルな歌詞だけになおさらヘビーに聴こえます。それにカラオケで歌った時、ラップ部分よりもこのBメロが一番カッコよく歌えますし。(っていうかラップ部分ムズカシイ…)
これだけ抽象的で大雑把なフレーズにも世界規模の社会風刺がやはり取り込まれていたんですね〜!さすが桑田さん!
ではもう一つの
「♪嗚呼 フェリーニが夜に誘(いざな)う 幸せのサテリコンは女にゃ内緒」
コレってどういう意味なんですか?とてもグロテスクで危険なイメージがあるのですが。
フェデリコ・フェニーリ監督「サテリコン」で調べてみると、この映画は内容が意味不明らしいですね?ただ映像が芸術的らしく名作だとは分かりました。ウ〜ン…また謎が深まってしまう…。
「ラプラスの魔」マーシャ氏のおかげで勉強になりました!
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No.392 -> No.383
Date: 2003/02/17(Mon) 22:21
Name: マーシャ
Subject: Re: 『質量とエネルギーの等価性』

> 「♪嗚呼 フェリーニが夜に誘(いざな)う 幸せのサテリコンは女にゃ内緒」
> コレってどういう意味なんですか?とてもグロテスクで危険なイメージがあるのですが。
> フェデリコ・フェニーリ監督「サテリコン」で調べてみると、この映画は内容が意味不明らしいですね?ただ映像が芸術的らしく名作だとは分かりました。ウ〜ン…また謎が深まってしまう…。

僕はフェニーリ監督の“サテリコン”を観ていないので、内容の詳細も感想も言えませんが、ハリケーン喇叭さんのおっしゃる通り、この映画をグロテスクと形容する人は多いようですね。

お題のフレーズを解釈するにはまず映画を観るべきなのでしょうが、そうなると、いつ解釈できるのかわからなくなるので、今回は僕のわずかばかりの知識に基づいて解釈してみます。

♯解釈その1
フェリーニというのは享楽と退廃の代名詞、そして、サテリコンというのは酒池肉林の代名詞として使われていると思います。
これに基づいて解釈すると、
♪嗚呼 フェリーニが夜に誘(いざな)う
「夜になると、快楽を味わい、乱れたくなる」
♪ 幸せのサテリコンは女にゃ内緒
「至福の喜びである酒池肉林の快楽は俺の女(妻や恋人)にはとても言えない」
といったところではないでしょうか。

♭解釈その2
フェリーニというのは享楽と退廃の代名詞、そして、サテリコンというのは、映画のストーリーの中に美少年を巡る争いがあることから、少年愛の代名詞として使われていると思います。
これに基づいて解釈すると、
♪嗚呼 フェリーニが夜に誘(いざな)う
「夜になると、快楽を味わい、乱れたくなる」
♪ 幸せのサテリコンは女にゃ内緒
「至福の喜びである美少年との愛のひとときは俺の女(妻や恋人)にはとても言えない」
といったところではないでしょうか。

☆補足
桑田さんがフェリーニの“サテリコン”を持ち出したのは、詞の中に「ザ・ビートルズの波動と魔法にYell(エール)」というフレーズがあることを考えると、ジョン・レノンの「ビートルズのツアーはフェリーニの“サテリコン”のようだった」という発言に起因していると思います。

> 「ラプラスの魔」マーシャ氏のおかげで勉強になりました!

偉大なる桑田さんに感謝しましょう!
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No.399 -> No.383
Date: 2003/02/19(Wed) 00:49
Name: ハリケーン喇叭
Subject: Re: 『質量とエネルギーの等価性』

ウ〜ン。この曲はただ単に単語を並べたものじゃないのかもしれないですね〜。桑田さんは別冊カドカワで『こういうのが1曲でもあると、ファンの方から「桑田って勉強してんだな〜」って言ってもらえるかとも思いまして(笑)』なんて言っていますよね。それが本音か照れ隠しか分からないですが、僕には、マーシャ氏の解釈を通し桑田さんの才能を改めて見せ付けられた一曲になりました。Bメロだけでこれだけ奥深いメッセージが隠されていたとは…。

>♪嗚呼 フェリーニが夜に誘(いざな)う
「夜になると、快楽を味わい、乱れたくなる」
>♪幸せのサテリコンは女にゃ内緒
「至福の喜びである美少年との愛のひとときは俺の女(妻や恋人)にはとても言えない」

この解釈はさすがだと思いました!まさか同性愛のテーマがあるなんて…。もはやアートです!

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