PARADISE

♪PARADISE

僕は裏話的な知識に乏しいので、サザンのメンバーがこの曲の演奏にどの程度関与しているのかはわからないんですが、コンピューターが占めている割合がかなり高いような気がします。

このコーナーでこの曲を取り上げるのは今回で3回目なのですが、正直ネタに困りました。
というのも、僕はこの手のコンピューター色の強い曲が苦手だからです。

苦手というと、「生理的に受けつけない」とか、「大嫌い」とかの言い換えだと受け取られかねませんね。
決してそうじゃないんです。
そこまでの拒否反応は示しません。
ただ、何て言ったらいいんでしょう。
例えるなら、アクション映画を見ても、ストーリーにのめりこめずにCGの技術の高さばかりに感心してしまう。
そんな感覚ですね。
つまり、この曲を聴いても、「凝った音作りには感心するものの・・・」という感想になってしまうんです。

この曲が大好きだという方、どうもすいません。

♪PARADISE

たしかNHKの特番だったと思いますが、桑田さんは作曲し終わった後に「どこかで聞いたことがあると思ったら、昔の曲のメロディーだった」ということがあると言ってました。
こういうことはベテランになると、珍しくない現象のようです。
この曲は全く同じメロディーではありませんが、曲調が“愛の言霊”に似ているので、初めて聞いた当初、僕は「桑田さんも煮詰まったか?」と思いました。

でも、ある日思ったんです。
桑田さんは敢えて“言霊”に似せたんじゃないかと。

詞を読んでみると、“言霊”は、テーマが鎌倉の神秘的描写から戦や罪を犯す人間の愚かさへとスライドしていってます。
そして、"PARADISE"ではまるで“言霊”の後半のテーマを引き継ぐかのように、核を用いた戦争をテーマにしてます。

"Se O no Luja na Quites〜素敵な春の逢瀬〜"でこれら二曲を続けて演奏したのを聞いて、僕は「桑田さんは“言霊”で伝え切れなかったメッセージを表現する為に"PARADISE"という曲を敢えて“言霊”に似たような曲調にして作ったんだ。これら二曲は組曲のようなものなんだ」と思うようになりました。

♪PARADISE

サザンの曲、特にシングルはドラマの主題歌やCMに起用されることが多く、この曲もご多分に洩れず、フジテレビ系列で放送された“ハッピーマニア”というドラマの主題歌でした。

“ハッピーマニア”に"PARADISE"。
単語だけを見れば、見事に合致しているかように見えますが、内容は全くかけ離れたものでした。
サザン側にとっても、フジテレビ側にとっても、「主題歌にサザンの新曲を起用」というのは絶好のプロモーションだったでしょう。

しかし、ドラマも主題歌も共に大ヒットするには、「ドラマのシーンを思い浮かべると、頭の中で主題歌が流れる」、「主題歌を耳にすると、ドラマのシーンが思い浮かぶ」といった相乗効果がなければならないはずです。
にもかかわらず、まるでその効果を無視したかのようなミスマッチも甚だしいタイアップは予想通り惨憺たる結果に終わりました。

"PARADISE"は核問題を取り上げたサザン入魂の意欲作だっただけに、大衆に幅広く受け入れられなかったことはとても残念でなりません。

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