ミックの発言の裏

ミックの発言は自分の作品を聴く大衆に対して、「どうぞ、ご自由に!」という、実に寛容な態度を示しているかのように受け取れます。
しかし、この発言には悲観的な意味が含まれているように思えるのです。

ミックはマスコミから「何を歌っているのかわからない」、「歌詞に問題がある」などのバッシングを受け、曲によっては放送禁止にされたり、テレビ番組で歌う際には歌詞の変更を強制されたりもしました。

60年代は、ロック・ミュージシャンは子供や若者達に悪影響を及ぼす不良的存在と捉えられていて、その中でもとりわけストーンズはあたかも悪の権化であるかのように酷評されていました。
こういった時代背景からすると、マスコミによるミックへのバッシングは、ストーンズ潰しを目的としたものであり、その手段として、ミック作の歌詞が曲解されていたように思えてなりません。

60年代と現在とでは表現の許容範囲に違いがあったとはいえ、「この程度の表現で放送禁止?」、「この歌詞のどこがまずいの?」と思える曲が多かったのです。

ですから、ミックの「作品を商品化した時点で、それはもう自分独りだけのものじゃなくなってる」という趣旨の発言は作品の意図を曲解して問題視するマスコミの存在への嘆きであり、それと同時に、マスコミによる曲解を鵜呑みにするのではなく、直に自分の耳で聴いて、自分の頭で解釈してほしいという聴衆への願いが込められていると思うのです。

さて、ここで皆さんに質問です。
「何を歌っているのかわからない」、「歌詞に問題がある」という部分で、誰かさんのことを思い出しませんか?
そうです。
我らが桑田さんです。

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